5月13日から2日間、米ワシントンD.C.で局長級の「米中人権対話」が行われた。15日午前の日本の某公共放送テレビニュースは、2年ぶりに開催された同会合で「次回の人権対話を来年中国で行うことが合意」され、「(米中)両国の関係改善が進んでいることを印象づけた」と報じていた。
小さな「誤報」
さすがの筆者もこれには驚いた。天下の公共放送が何を根拠にこんなニュースを流すのか、不思議でならない。前回のコラムを読んで下さった方ならご理解いただけると思う。外国メディアの多くは「米中人権対話に進展なし」と報じ、「両国の関係改善」に言及したメディアは皆無だった。
そんな小さなニュースの「誤報」に目くじらを立ててもしょうがないじゃないか、と言われるかもしれない。しかし、米中関係の「枝葉」ばかり見て「森」が見えない日本の一部メディア報道の欠点は、その都度指摘・是正されるべきだと思っている。
「両国の関係改善」を象徴するニュースなら、ほかにもっと重要なものがあるだろう。例えば、対イラン追加制裁決議案に関する5月18日のクリントン国務長官の発言だ。同長官によれば、米国が国連安保理非公式会合で配布した草案は「中露の協力によりできた」「強力なもの」なのだそうだ。
これほど昨今の「米中協力」の進展を象徴するニュースは、ほかにないと思うのだが・・・。
米中人権対話の中身
話を人権対話に戻そう。中国の政府系メディアは、今回の米中対話が「率直かつ開放的で、建設的だった」としたうえで、米国は「中国が人権分野で収めた新たな進展を評価」したなどと簡単に報じている。
これに対し、米側の対応はもっと丁寧だった。人権問題への関心が高いからだろう。今回米側代表を務めたマイケル・ポスナー国務次官補自身がプレスブリーフィングを行い、米国務省ウェブサイトは直ちにそのトランスクリプト全文を掲載している。概要はこちら。