スマートフォン市場で苦戦が続いているカナダRIM(リサーチ・イン・モーション)。5月29日の赤字見通しの発表を受け、同社株は翌日、米ナスダック市場で7.8%下落して10.35ドルとなった。
1年前は400億ドルだった同社の時価総額は今や60億ドル以下にまで縮小し、このままではさらなる株価下落も予想されるとアナリストらが警告している。
RIM株、6ドルにまで下落するとの観測も
トールステン・ハインズ最高経営責任者(CEO)兼社長は29日、同社の「ブラックベリー(BlackBerry)」の販売が落ち込んでいることを理由に、第1四半期(3~5月期)の決算が営業損失になるとの見通しを明らかにした。
米ニューヨーク・タイムズは、投資家は年度末(2013年2月)までのどこかのタイミングでRIMが赤字を報告するのではないかと予想していたが、それがまさかの第1四半期だったと伝えている。
ハインズCEOは、29日の声明で今後数四半期は厳しい状態が続くことを示唆しており、RIMではこの先1年を通して利益が見込めないとの観測が広がっている。
同社は現在、次期基本ソフト(OS)「ブラックベリー10」の開発を進めているが、同OSを搭載する製品が市場投入されるのは「年内」としており、明確な時期は分からない。
それまでの間、既存モデルの販売台数は減少し、同社の売上高は縮小していく。開発費用の増大に伴い、手元資金は減っていくという状況が予想されている。
あるアナリストは、ブラックベリー10が成功すればRIMの株価は20ドルにまで回復するが、そうでなければ最悪の場合は6ドルにまで下落すると予想している。ちなみに同社株は1年前に43ドルで取引されており、たとえ新OSが成功したとしても株価はかつての水準に届かないことになる。