北朝鮮が「衛星」と称した弾道ロケットの打ち上げに失敗したことは日本でも大きく報道された。その費用は800億円とも言われる。その失敗を取り返すために、近く3度目の核実験に踏み切るのではないかと言われている。それにも多額の資金が必要だ。

 ここではそんな北朝鮮の食料事情について考えてみたい。

1人当たりコメ消費量は日本よりも多い

 北朝鮮の人口は2430万人。FAO(国連食糧農業機関)によると、2010年の穀物生産量は454万トン。その中でコメが243万トンと約半分を占め、残りは大半がトウモロコシ(168万トン)である。小麦の生産量は16万トンと少ない。

 1人当たりのコメ生産量は100キログラムであるが、これはもみの付いた重量であり、白米にすると65キログラム、1日177グラムである。これから得られる熱量は630キロカロリーだが、人間は1日に約2000キロカロリーを摂取しなければならないから、これでは全然足りない。そのために、多くの人がコメにトウモロコシを混ぜて飢えをしのいでいる。

 ただ、日本の1人当たりコメ消費量は現在59.5キログラム/年でしかない。北朝鮮よりも少ないが、日本人は飢えていない。またコメにトウモロコシを混ぜたりもしていない。それは、穀物以外から多くの熱量を得ているからだ。

 一例を上げれば、日本の年間の食肉生産量は322万トン、輸入は260万トンである。1人当たりの供給量は年間45キログラムにもなる。

 一方、北朝鮮は肉をほとんど輸入しておらず、国内生産も年間32万トンでしかない。1人当たりの供給量は13キログラムである。

 また日本は牛乳を年間770万トン生産しているが、北朝鮮は9.5万トンであり、日本の81分の1だ。人口が5分の1であることを考慮しても、これでは平壌に住む特権階級しか牛乳を飲むことができないであろう。