厚生労働省・文部科学省が年4回実施している「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」では、調査が開始された1996年度以降ほぼ一貫して、大卒予定者の内定率では理系の方が文系よりも高い。

 就職戦線の厳しさがひときわ目立った2009年度(2010年3月)の大卒予定者について見ると、2009年10月1日時点の内定率は、文系が61.2%(前年同月比▲9.2%ポイント)、理系が68.5%(同+0.4%ポイント)。2010年2月1日時点では、文系が78.7%(同▲7.3%ポイントで調査開始以来の最低水準)、理系が86.2%(同▲1.9%ポイント)になった。

 「不況に強い理系」と言われることがあるが、そのことはデータでもしっかり確認される。

 就職内定率において理系が優位である理由として考えられるのは、以下の諸点である。

(1) 理系の大学生は、「学校推薦」枠で内定を取ることができる割合が、文系よりも高い。
(2) 技術・研究職の人材への高いニーズが、技術革新が速い業界を中心に常時存在する。
(3) 銀行・保険など金融業界で理系の活躍の場が近年広がり、人材ニーズが増えている。