社員食堂はどこまで充実していくのか

「健康志向」だけにはとどまらない企業の思惑とは

2012.03.02(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 「社員食堂」がブームだ。火つけ役は家庭用体重計メーカーのタニタ。社員食堂のレシピ本『体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房)はシリーズ累計470万部を突破。料理本としては異例の大ヒットだ。

 他にも、社員食堂のレシピ本が相次いで刊行されている。『ヨーガンレールの社員食堂 野菜でつくる一皿料理』(PHP研究所)、『世界をつなぐ あこがれ企業の社員食堂レシピ』(東洋経済新報社)、『カルピス社員のとっておきレシピ』(池田書店)など枚挙にいとまがない。

 なぜ今、社員食堂が脚光を浴びているのだろうか。

ビジネス中心地で「メタボゼロ」目指す 

 体脂肪計シェアナンバーワンを誇るタニタ。「社員がメタボではマズイ」という暗黙の了解があるという。

 タニタは、体重・体脂肪率・血圧を記録し、栄養管理をアドバイスする「からだカルテ」などのサービスを提供している。これまで培ってきたそうしたノウハウを、社員の健康管理に生かそうとしている。その1つが社員食堂だ。

 谷田千里社長は、講演で「“測る”技術で社員の健康管理を強化することは、当社の成長にとって必要不可欠」と明言。会社を挙げて健康リスクの高いメタボリック症候群をゼロにする運動に取り組んでいる。

 社員食堂を利用している社員からは、減量、コレステロール値の減少、風邪を引かなくなったなどといった声が寄せられており、体の変化が起きているという。実際に「1年で15キロ減」を達成した社員もいるという。

 この動きは社内にとどまらない。タニタはビジネス中心地でも「食」を通じてサラリーマンの健康管理を試みている。2011年11月に外食チェーン「きちり」との業務提携を発表。2012年1月11日に「丸の内タニタ食堂」をオープンした。店舗にはカウンセリングルームが併設され、営業時間中は管理栄養士が常駐し、無料でアドバイスを行っている。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。