いま、ヨーロッパもスキーシーズン真っ盛り。ヨーロッパのスキー大国といえばオーストリアやスイスだが、楽しいことばかりではない。

 「オーストリアは、もうすぐスキー事故シーズン」「スイスのウインタースポーツ、正しい滑り方をしないと骨折はしばしば」など、それぞれの国のマスコミにはケガに関連した話題が絶えない。

スキーのケガはダントツ1位、両国とも毎年4万超

スイスで今季シーズンを楽しむ人(筆者撮影)

 ウインタースポーツは、スキーやスノーボード(スノボ)に加え、アイスホッケー、スケート、ソリが主なもの。これらのケガ人をオーストリアとスイスで比較してみると、似たような傾向がある。両国内で起きた事故について、2009年の統計を見てみよう。

 オーストリアは、ウインタースポーツによるケガ人7万2200人のうち、65%にあたる4万6900人がスキー(アルペン)によるケガだった。

 次いで多かったのはスノボで、1万1900人、16.4%となっている[統計、出展=オーストリア交通安全協議会(KFV ―Kuratorium für Verkehrssicherheit)]。

 スイスは、同ケガ人全体9万4000人のうち、47%にあたる4万3920人がスキー(アルペン)によるケガ、2位はオーストリアと同じくスノボで、26%にあたる2万4400人だった[統計、出展=スイス事故防止事務局(bfu – Beratungsstelle für Unfallverhütung)]。

 スイスでは、このほかに国外客のスキーやスノボのケガ人が3万人もいるという。

 両国ともに、スキー(アルペン)のケガ人がウインタースポーツによる負傷者の1位を占めている。この数は両国とも毎年あまり大きく変化していない。

 両国は陸続きの周辺国からのスキー観光客も非常に多いが、自国のスキー人口は、アルペンスキー発祥の地オーストリアが340万(人口の55%)、スイスは200万以上(人口の25%)というから、比率を考えるとケガ人は微々たるもの、とも言えるが、4万人以上という数は看過するには大きすぎる。