元防衛相で、自由民主党参議院議員副会長を務める林芳正氏をゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。

 国防の現場を知る林氏が、無知をさらけだした田中(直紀)防衛相の国会答弁をはじめ、中国の挑発的行為が目立つ海の防衛の課題について語った。

「2プラス2」の重要性も分からない田中防衛大臣

中山 林さんは元防衛相のご経験から、「素人」の大臣が続く日本の国防をどう見ていますか?

普天間飛行場の14年までの移設完了を断念、2プラス2

2011年6月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)後の共同会見の様子〔AFPBB News

 先日の予算委員会で、私は田中(直紀)防衛相に「なぜ“2プラス2”(日米安全保障協議委員会)をやらないのですか?」と質問しました。

 2プラス2とは、日米間の重要な懸案について日本の外務相と防衛相、米国の国務長官と国防長官の計4人が話し合って決める会合です。

 この会合を外務省だけでやるのは不十分なのです。なぜかというと、例えば米軍再編問題でも、沖縄への説得や交渉を行うのは、外務省ではなく全て防衛省です。

 つまり地元の人々としっかり話し合えるプランを立てる必要があるため、外務省と防衛省の両方が協議に入るべきなんです。

 しかし、田中防衛相はそれをご存じないようで「なぜ2プラス2が必要なのか?」という態度・・・。私は驚いて「一川(保夫)前防衛相から何も引き継ぎは無いのですか?」と聞きました。

 すると最初は「引き継ぎなど無かった」と答えたのに、さらに問いただすと「実はあった」と認めた。この会合の重要性を本当に認識していないんですね。

 在沖縄米海兵隊のグアム移転を普天間飛行場移設と切り離して先行実施する合意も、沖縄の人々が知らないところで決まってしまった。

 今度は私の地元である山口県・岩国基地へ海兵隊の一部を移転するという案が報道されましたが、山口県知事も岩国市長も当然そんな話は知りませんよ。

 どうも防衛省は、その辺を米国側と議論できていない。これでは地元の説得などできるわけがありません。