報道によると、環境NGO「グリーンピース・ジャパン」は、大飯原発の再稼働の反対運動を盛り上げるため、福井市内に活動拠点を設置することを決めたという。
県議会の会期に合わせて、活動拠点にスタッフ5~8人を駐在させ、原発に隣接する自治体へ働きかけるとともに、県内外の市民団体と協力して反対運動を進めるそうだ。このほかにも、多くの市民団体が再稼働に反対している。
主張するのは元より自由だが、彼らの主張を聞いても、何か割り切れないものを感じるのは筆者だけではないだろう。
対案のない反対は無責任
「再稼働を断念し、遅くとも来春5月の全原発停止を受け入れ、脱原発に大きく舵を切るべきである」「末代にまで悪影響を与える原発再稼働は中止すべき」などの主張であるが、「で、どうするの?」という疑問には答えていないからだ。
街で原発再稼働反対の署名活動をしている人に、質問をしてみた。「それで、どうするのですか?」と。すると「再生可能エネルギーをもっと増やすのです」「足りない分は節電するのです」といった返事が返ってきた。
具体策のない意見、実現可能性のない意見は政策とはなり得ない。対案なく反対運動を起こすなら、それは無責任の誹りは免れない。
再生可能エネルギーは今の勢いでいくと、10年後には年間約500億キロワットの発電量が見込まれるという。それでも現在の総発電量の5%程度である。
これまで原子力発電は30%を占めていたので、残り25%はどうするのか。25%節電するというなら、「1日24時間の内、6時間は電気なしで生活しましょう」とまで言って初めて責任ある意見となる。
現在の生活レベルを維持するということであれば、25%分は化石燃料に頼らざるを得ない。2011年に輸入した天然ガスは7853トンであった。
原発が再稼働できないため、火力発電用の需要が急増し、輸入量は2010年に比して12.1%増加したという。来年はさらに増加せざるを得ない。