米アップルが韓国サムスン電子を相手取ってまた訴訟を起こしたと、複数のメディアが報じている。今度は、アップルの特許が「ギャラクシー・ネクサス(Galaxy Nexus)」というスマートフォンに侵害されたと主張している。

アップル、「技術が模倣された」と主張

米裁判所、アップルによるサムスン端末の販売差し止め申請を棄却

サムスン電子の「ギャラクシータブ10.1」〔AFPBB News

 ギャラクシー・ネクサスは昨年10月に香港で発表し、11月には日本でも発売され、12月半ばに米国市場にも投入された。

 「アイスクリーム・サンドイッチ(Ice Cream Sandwich)」とも呼ばれる米グーグルの最新モバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)4.0」を搭載している端末だ。

 アップルは9日、同端末の米国への輸入や販売差し止めを求めて、カリフォルニア州サンノゼの連邦地方裁判所に提訴した。

 アップルが侵害されたと主張しているのは、スクリーン上のボタン画像をスライドしてロックを解除する機能や、昨年「アイフォーン(iPhone)4S」に搭載して話題になった音声アシスタント機能「シリ(Siri)」などに関する合計4件の特許。

 アップルは今回、製品のデザインではなく個々の技術に言及している。

「回復不可能な損害」の立証に躍起

 アップルは昨年の4月、サムスンが「ギャラクシー」ブランドで展開しているスマートフォンやタブレット端末などが、アップルのユーザーインターフェースや製品デザインを模倣したと主張、今回と同じカリフォルニア州の連邦地裁に提訴したのだが、同地裁は12月にアップルの訴えを退けている。

 この時は「販売を差し止めなければ回復不可能な損害を被ること」をアップルが立証できなかったことが敗北の理由だったと言われている。今回アップルはその経験を踏まえ、問題点をスマートフォンを取り巻くエコシステム(製品の生態系)にまで拡大している。

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、訴状には「消費者がギャラクシー・ネクサスを購入することで、アイフォーン関連の別の製品の販売機会が失われる」とある。これにより「アップルが損害を被ることは、事実上の確実性がある」などと主張している。

 アップルによると、消費者はデータ移行の煩わしさなどから、初めて買った機器のメーカーの製品をその後も買い続ける傾向にある。