電力自由化への道はもはや止められない

一方で電力の安定供給と事業者の経営が重要な課題に

2012.01.31(火) 堀田 佳男
    http://goo.gl/fyOrC
  • 著者プロフィール&コラム概要

昨年末、米ニューヨーク州にある電力会社が破綻した。福島の原発事故による東京電力の経営危機とは関係がない。

仏アレバ、今年の赤字最大で1600億円に

フランスの原子力大手アレバ社は2011年の営業損失が約1600億円に上る見通しと発表した 〔AFPBB News

 日本ではほとんど話題になっていないが、AESイースタン・エナジー社という企業の連邦破産法第11章の申請は、電力会社でも破綻することを如実に示している。

 同社は総合エネルギー企業AES社の子会社で、AESは27カ国に発電所を持つ大企業である。

 だが天然ガスの価格低下による電力料金の下落、同時に環境汚染対策に予想以上の経費がかさんで破綻。計1000メガワットの発電能力のある2工場は売りに出されている。

エンロン問題を機に日本の自由化論議が消滅

 米国ではこれまでもエネルギー関連企業が倒産したことはあった。覚えておられる読者も多いだろうが、2000年に始まったカリフォルニア州の電力危機で2001年2月、パシフィックガス&エレクトリック社という企業が倒産している。

 同年12月にはテキサス州で、総合エネルギー企業エンロンも破綻する。同社の破綻は不正経理と不正取引が主因なので、電力事業の構造上の問題ではなかったが、エネルギー業界に大きな傷跡を残した。

 パシフィックガス&エレクトリックの破綻は、米国が発送電を分離して自由化に突き進んだ矢先のことだった。電力不足に陥る地域が出て、停電が頻発した。

 ライフラインの事業者は、基本的に想定外の事態をも回避する能力が要求される。いまだに停電が日常的に起きている国もあるが、先進国での停電は問題視される。

 同じ時期、日本も自由化に向かう議論が活発化していたが、米国のこの失敗を見て発送電分離は実現しなかった。

 しかし原発事故後、日本の発送電分離の動きが慌ただしい。朝日新聞の1月29日(日)1面には「電力会社 私が選ぶ」というタイトルが踊っている。

1
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

Yoshio Hotta ジャーナリスト

1957年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業後、ワシントンDCにあるアメリカン大学大学院国際関係課程修了。米情報調査会社などを経て1990年に独立。以来、ワシントンDCを拠点に政治、経済、社会問題など幅広い分野で取材・執筆。25年間の滞米生活後、2007年に帰国。現在は国内外で精力的にジャーナリスト活動を続けている。著書に『なぜアメリカ金融エリートの報酬は下がらないのか』、『大統領はカネで買えるか』、『大統領のつくりかた』、『日本人医師―満屋裕明』ほかがある。

USA

20世紀の世界秩序を築いてきた超大国、米国が揺らいでいる。世界はこのまま多極化へと向かうのか。政治、経済、金融、外交、軍事…。豊富なネットワークと独自の情報網を持つ執筆陣が、米国の現状と今後についてあらゆる角度からJBpressならではの切り口で論じる。

>>最新記事一覧へ