関東大震災と第2次世界大戦。日本はたび重なる不幸から驚異的な復興を果たしてきた。そればかりか、その後は世界が驚く経済成長へと結びつけることができた。これらはひとえに真摯な国民性とリーダーシップがあればこそできた奇蹟だったと言える。
慶應義塾大学総合政策学部教授、グローバルセキュリティ研究所所長。一橋大学卒業後、日本開発銀行、大蔵省主任研究官、ハーバード大学客員准教授などを経て現職。2001-2006年小泉内閣において経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣などを歴任。(撮影:前田せいめい、以下同)
しかし、昨年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故においては、政府の対応はあまりにもたついていた。
責任逃れに四苦八苦するだけで早期に有効な政策はほとんど打ってこなかった。
さらには、福島第一原発の事故において、政府はほとんどの大切な会議の議事録すら取っていないことが判明した。失政に対する隠蔽工作と疑われても仕方がないことだ。
危機にあってリーダーがどのような対応を取ったか、これは後世に同じような危機に襲われたとき、大変参考になる事実である。しかし、それを恐らくは保身から隠蔽するとは何とも呆れ返って言葉が出ない。
しかも、ようやく東北が復興を始めたら、今度は大増税へとひた走り始めた。規制緩和や構造改革に何ら手を打たず、歳出増をただ増税で埋めようという無能と行動力欠如の極みである。
超円高とデフレが続く中での大増税は日本を恐慌のどん底へ突き落とす危険性すらある。関東大震災と第2次世界大戦からの復興とは全く逆の道へと日本を向かわせようと言うのだろうか。
こうした中、今回の震災の記録を正しく残し、政策一つひとつを検証して後世へと伝えようという民間グループが現れた。自由民主党の小泉純一郎政権で経済政策を任された竹中平蔵・慶応大学教授のグループである。
日本はいま何をし、どのような手を打つべきなのか。竹中教授に聞いた。