年が明けてからニューヨークに住む知人から年賀メールが届いた。報道の仕事に携わっている知人は、時々興味深い情報を送ってくれる。

 「ニューヨークのチャイナタウンが将来、なくなるかもしれない」

人口が9%も減少したNYのチャイナタウン

NYチャイナタウンで大規模な偽ブランド品摘発

ニューヨークのチャイナタウンでは旧正月にパレードが開催されるが・・・〔AFPBB News

 思わず「そんなことはないだろう」と呟いてしまった。それほど意外な内容である。しかし、いつも冷徹に事実を追求する米国人記者なので、思いつきで記しているわけではなさそうだった。

 2010年の国勢調査によると、確かにニューヨークのチャイナタウンの人口は9%も減少していた。これまで増加し続けてきた米国内の中国人の人口がようやくピークに達したとの見方もある。

 少し調べると、ニューヨークだけの現象ではなかった。サンフランシスコでも中国人の人口は少しずつ減っていた。

 米国には今でも160万を超す中国人(中国系アメリカも含む)が住んでいる。言うまでもなく、移民の国としての米国はいまでも多くの移民を受け入れている。しかも中国は過去10年ほど、急激な経済成長を背景に、米国へも多くの人を送り込んでいるかに思える。

 留学生も増えている。統計を見ると、2010年9月からの1年間で、米国に最も留学生を送り込んでいるのが中国だった。前年比で21%増の15万8000人。2番目がインド人の10万4000人。3位が韓国で7万3000人。

増える留学生と裏腹に米国移民は減少

 日本人留学生は、すでに多方面で報道されている通り減少の一途で、今や7位の2万1000人。前年比で14%も減っている。

 こうした背景を考えると、チャイナタウンはなくなるどころか、さらなる活気が期待されるかに思えたが、実情は違った。

 留学生や米国企業との事業展開のために中国から渡米する人は多いが、「アメリカンドリーム」を抱いて米国に移民する中国人は減っていた。