日本は今年、中国に抜かれて、世界第2位の経済大国の座を失うことになる。一方で、政府債務残高の名目GDP比は先進国の中でも突出して高い。それにもかかわらず、人口減・少子高齢化がこれから急ピッチで進行していく見通しになっており、現役世代の負担がかなり重くなることは避けられそうにない。

 このような厳しい状況下、日本経済をどう立て直すかという議論に加えて、人口減少・高齢化社会と低成長を甘んじて受け入れた上で、日本という国が今後は何を目指すべきなのかという、これまでとは違った角度からの議論が行われる機会が増えている。そうした議論にはやや無責任な面があり、経済的な「負け」をあっさり認めるとしても財政の問題にはどう対処するのか、という反論を筆者はしたくなるのだが、ここではその話を深追いすることはせず、日本人の意識の変化を、世論調査をもとに考えることにしたい。

 内閣府がほぼ毎年行っている世論調査の1つに、「社会意識に関する世論調査」がある。これは、「社会や国に対する国民の基本的意識の動向を調査し、広く行政一般のための基礎資料とする」目的で行われているもの。様々な質問があり、時系列で見てみると興味深いことがいくつも浮かび上がってくるのだが、ここでは次の問いに対する回答の変遷を取り上げたい。

「あなたは、日本の国や国民について、誇りに思うことはどんなことですか」(複数回答)