日銀は4月1日午後、生活意識に関するアンケート調査の3月調査(調査期間:2月11日~3月9日)結果を発表した。現在の景況感DI(「良くなった」-「悪くなった」)は▲62.0で、水準は非常に低いままだが、4四半期連続で改善。1年後の景況感DI(「良くなる」-「悪くなる」)は▲17.9で、2四半期ぶりに改善した。
市場で注目度が高い、物価関連の数字はどうか。1年前と比べた現在の物価に対する実感は、「上がった」とする回答(「かなり上がった」と「少し上がった」の合計)が23.6%に減少した(前回12月調査では28.8%)。一方、「下がった」とする回答(「かなり下がった」と「少し下がった」の合計)は39.8%に増加した(前回は34.9%)。したがって、回答比率「上昇」-「下落」で算出されるDIは、▲16.2に低下した(前回は▲6.1)。これは2006年9月調査以降の調査方式である郵送方式では、過去最低水準である(なお、この調査は2006年3月調査までは訪問方式で行われていた。同年6月調査はデータ比較のため、訪問と郵送という2つの方式で並行実施。2005年9月は調査が行われなかった)。
1年後の物価に対する見方については、「上がる」とする回答(「かなり上がる」と「少し上がる」の合計)が32.2%に減少(前回は33.8%)。「下がる」とする回答(「かなり下がる」と「少し下がる」の合計)が16.9%に減少(前回は18.4%)。「上昇」の回答比率から「下落」を差し引いて計算されるDIは+15.3で、前回の+15.4とほぼ同じ水準だった。
5年後の物価に対する見方は、「上がる」とする回答の合計が63.8%に増加(前回は62.2%)、「下がる」とする回答の合計は10.1%に減少した(前回は11.8%)。「上昇」の回答比率から「下落」を差し引いて計算されるDIは+53.7で、前回の+50.4から上昇した。
1年前と足元を比較した場合、デフレが進行したという認識は強まった。しかし、1年後の物価見通しは昨年12月調査とほぼ同じ。5年後の物価見通しについては、上昇の予想が強まったことが分かる(消費税率の論議を政府税調が行うことになったことが影響している部分が、おそらくあるのだろう)。
また、具体的な数値による物価認識および物価見通しの回答は、次の通りである。
設問「1年前に比べ現在の物価は何%程度変化したと思うか」への回答の中央値は0.0%(前回も0.0%)。
設問「1年後の物価は現在と比べ何%程度変化すると思うか」への回答の中央値は0.0%(前回も0.0%)。
設問「5年後の物価は現在と比べ毎年、平均何%程度変化すると思うか」への回答の中央値は+2.0%で、5回連続で同じ数字になった。
なお、中央値ではなく平均値を見ると、1年前との比較は▲0.6%(前回は+0.2%)、1年後の見通しは+1.7%(前回も+1.7%)、5年後の見通しは+3.0%(前回は+3.5%)である。