欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会(EC)は23日、大手ハードディスク装置(HDD)メーカーの2社、米ウエスタン・デジタル(WD)と日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)のM&A(合併・買収)について、条件付きで承認すると発表した。

HDD生産工場などの売却が条件

タイ洪水でHDD供給に混乱

HDDの工場はタイの洪水で大きな被害を受けた。写真は水に使ったタイの工場〔AFPBB News

 条件とは、WDが日立GSTの買収に際し、デスクトップパソコンやHDDビデオレコーダーなどに使われる3.5インチ型HDDの生産工場などを第三者に売却しなければならないというもの。

 具体的には生産施設のほか、売却先への知的財産権の譲渡、従業員の移管、HDD部品の供給といったことなどが義務付けられている。

 また売却先は欧州委員会が認める企業でなければならず、その企業との契約を締結するまでWDは日立GSTとの合併を完了できない。

 欧州委員会のホアキン・アルムニア競争政策担当副委員長は「合併実施を前に、業界における競争が完全に回復され、欧州経済領域で市場競争を著しく阻害される恐れがなくなる」と述べている。

シーゲート/サムスンは無条件で承認

 WDと日立製作所は今年3月、WDが日立の100%子会社で、日立GSTの持株会社であるヴィヴィティテクノロジーズを現金とWDの株式を合わせた約43億ドル相当で買収することで合意したと発表した。

 これを受け欧州委員会の競争法当局は今年5月に本格的な調査を開始した。

 一方でWDの最大のライバルである米シーゲート・テクノロジーも韓国サムスン電子のHDD事業の買収を決めており、こちらについては欧州委員会が無条件で承認済み