就任以来、何かと注目を浴び続けた御手洗冨士夫・日本経団連会長(70)は2010年5月下旬で2期4年の任期を満了する。楽日が迫った御手洗会長の周辺を取材した。
新経団連ビルにフクロウ像を寄贈
(撮影・前田せいめい)
トーキョーのビジネス拠点・大手町。1丁目のはずれに地上23階建ての経団連会館の真新しいビルがそびえ立っている。本郷通りに面した1階の入口からこの建物に入る前に空を見上げてほしい。
大きく羽を広げてあなたを見下ろしている金色のフクロウの像を見つけることができるだろう。像の下の外壁には1枚の白い小さなプレートがはめ込まれ、「贈・御手洗冨士夫キヤノン会長」と書かれている。5月27日の定時総会での日本経団連会長退任を目前に控えて、3月8日に同氏が贈呈したものだ。
知恵の使者・フクロウのデザインは日本経団連の事務局と相談して決めた。在任中の2009年5月に新しいビルに移転し、最上階にある会長室の初代の主になった御手洗氏は思い出深いこの建物に何か足跡を残したかったのだろう。
周辺からは「記念像って普通は先人の業績をたたえて有志が贈るものじゃないの」「フクロウの顔がどことなく寄贈者本人に似ている」などと雑音も聞こえてくるが、ご本人は「なかなか良いデザインだ」と気に入っているという。
後任は米倉氏以外眼中になし
日本経団連会長の任期切れまであと2カ月あまり。1月下旬にようやく米倉弘昌・住友化学会長(72)を後任会長に決めて、御手洗氏の肩の荷は少し軽くなったように見える。
米倉氏は御手洗氏が早くから会長にと心に決めていた本命中の本命だった。昨年末以降、二転三転したように見えた次期会長人事も、御手洗氏自身には対岸の火事だったという。