なぜ、2度目のトヨタ・ショックが起きなかったのか。筆者がそう尋ねた際、件のファンドマネジャーが出した答えが冒頭の言葉であり、これこそが本稿のキモなのだ。
要するに、「トヨタ株をスルーし、パッシングする海外勢が多い」という事態が起こっているのだ。
「儲からない株」から「損する株」に
別の外資系運用会社の関係者から、これを裏付けるデータをもらった。同関係者の解説によれば、「〇〇年以降、現在までのTOPIXのパフォーマンスは約マイナス45%。これに対してトヨタはマイナス20%。一方、同業のホンダはプラスの47%に達した」という。
元々、トヨタ株はロングタームのスパンで運用する面々には人気がなかった、ということに他ならない。個別年で見ても、トヨタが主要株価指数を上回るタイミングはあったが、いずれもホンダなど同業の成績を上回る結果は出せなかった。
銀行取引や各種証券サービス等を通じトヨタとのつき合いが深い日系の機関投資家と違い、しがらみのない海外投資家はシビアだ。
一連の不祥事が露呈する以前から、「中国、インドなど今後最も成長が期待される新興国市場でトヨタのシェアが低過ぎる」(外資系証券アナリスト)ことが敬遠されてきた経緯もあった。それだけに、一連の騒動が投資家のパッシングを加速させたのだ。
海外勢の間からは「トヨタ株は従来から儲からない株として捉えられていたうえに、一連のスキャンダルで損をする銘柄としてのイメージが定着してしまった」(先のファンドマネジャー)との声が強まっている。