日本の家庭では、親が子供におこづかいを与える習慣が当たり前のように定着している。皆さんも親からおこづかいをもらって育ち、また、自分の子供にもおこづかいをあげているのではないだろうか。

 だが、おこづかい制には「百害あって、利ほとんどなし」と唱える人がいる。資産活用や投資に関するセミナー講師、アドバイザーをしている小泉俊昭さんだ。

 小泉さんは著書『かわいい子には「こづかい」をあげるな!』(大和書房)の中で、おこづかい制ではお金の大切さや使い方を学べない、だから子供におこづかいをあげるべきではない、と主張する。

 いきなり聞くと極論のようにも思える話だが、お金に悩む大人たちを見続けてきた小泉さんならではの理由と確信がある。小泉さんが考える「おこづかい制の弊害」とは何だろうか。

お金は「タダでもらえるプレゼント」ではない

かわいい子には「こづかい」をあげるな!』(小泉俊昭著、大和書房、1300円、税別)

── どの家でも疑うことなく、当たり前のように子供におこづかいを与えています。「こづかいをあげるな」と言われても、にわかには受け入れがたいと思うのですが、「おこづかい制」にはどのような弊害があるのでしょうか。

小泉 東京都が実施している「多重債務110番」という借金の相談窓口があります。ここに電話をしてくる人の60%が給与生活者で、平均年齢は50歳を超えているそうです。

 20代の人が身の程知らずにお金を使いすぎちゃったというなら、まだ分かります。でも社会人になってから30年以上も経っているような人が、そういうところに駆け込んでいるんです。不景気でリストラに遭った人が増えたのかという気もしますが、相談件数は、ここ数年の間、毎年一定だそうです。

 また、一時的に大金を手にしたものの、お金をコントロールできずに転落してしまう人がいます。例えば、音楽プロデューサーの小室哲哉さん。一時期は何百億円もの資産を持つ大金持ちになったのに、すべてを失い、挙句の果てには詐欺をして捕まってしまいましたよね。やはり、お金をコントロールする力がなかったから、ああなってしまったんじゃないかと思います。