ビジネスの世界で大成功を収めた経営者たちが、みんな幸せな人生を送っているのかというと、どうもそんなことはなさそうである。
例えば、こんな経営者の話を聞く。ベンチャーを立ち上げて事業は大成功し、莫大な資産を得た。だが、強引なビジネス手法に恨みを持つ人は多く、周りは敵だらけ。私生活を見れば、家族との関係は冷え切っている。妻や子供たちはまったく寄りついて来ず、口を利くこともない。
どれだけビジネスで成功しようとも、そんな人生は果たして幸せと言えるのか。
家庭の事情は外からは見えにくいし、周りが語るべきことでもない。だから金銭的な成功だけをもって「人生の成功」と捉え、もてはやすことになる。経営者にしてみても、ビジネスで勝つためには自分以外のことなど顧みてはいられない、と考える人は少なくない。
そうした風潮、価値観に対して、「それは違う」と明確に否定する本に出合った。西田文郎氏の『「最幸の法則」』という本である。
西田氏は、30年以上にわたって経営者やスポーツ選手向けのメンタルトレーニングを行ってきた人物だ。北京オリンピックで金メダルを獲得した日本女子ソフトボールチームの活躍に感動した人は多いだろう。あのソフトボールチームのメンタルトレーニングを行ったのが西田氏である。
西田氏が考える真の成功とは何か。それは「社会的成功」と「人間的成功」の2種類の成功を成し遂げることだという。社会的成功と人間的成功の両方を可能にする力を、西田氏は「他喜力(たきりょく)」と名付ける。本書には、西田氏が実際に出会った、他喜力あふれる人たちの物語が8篇つづられている。
「自分がなぜここまで来られたか」を考えた時に、初めて見えてくること
──誰もが薄々と気づいていることですが、ビジネスで成功した人が幸せかというと、必ずしもそうじゃありません。西田さんは本書で、世の中で言われる「成功」と幸せがなぜ結びつかないのかを、解き明かしていますね。
西田 社会的な成功はお金もうけの知性があれば誰でも成し遂げられます。ところが人間には、社会的成功とは別に、人間的な成功というものがある。
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