ある若い米軍女性兵士が、アフガニスタンへの赴任当日、基地に姿を現さなかった。軍隊で配属拒否は重い罪になる。翌日、彼女は軍警察によって逮捕された。
イラクやアフガニスタンへの赴任を苦に、逃亡したり自殺したりする兵士が増えている。しかし、この若い女性兵士のケースは特殊だった。
子供を抱きながら途方に暮れた女性兵士
アレクシス・ハッチンソン特殊技官(21)は、事件当初、生後11カ月の男の子を持つシングルマザー兵士だった。
彼女は2009年11月5日に、所属する部隊と一緒にアフガニスタンに発つことが決まっていた。10月中旬、ハッチンソンはカリフォルニア州に住む実母に子供を預け、出発の準備を始める。
しかしその1週間後、実母が根を上げ、やはり長期的に子供を預かることができないと連絡してくる。実母は、自分の母親と、障害を持つ娘の介護で、すでに手一杯の状況だったのだ。
ハッチンソンは上司に、赴任中に子供を預かってくれる人がいなくなったことを告げ、出発を30日間延期してもらう。
しかし、11月4日になり、上司はやはり当初の辞令通り、5日に出発するように命令する。
出発予定当日、ハッチンソンは途方に暮れながらも、家に子供1人置いて出て行くこともできず、結局基地に赴くことはなかった。「辛かったです。どうすることもできないし、息子を抱きながら、どうしよう、このまま行かなかったら大変なことになってしまうと考えていました」と彼女はラジオのインタビューに答えた。
翌日、子供を抱えて基地に出頭したハッチンソンはその場で逮捕され、子供は里親斡旋センターに送られた。
このニュースを聞いた実母は、子供がいるジョージア州の里親センターまで迎えに行った。ハッチンソン自身は最高実刑1年の罪に問われ、軍法廷の裁判を待っている状態である。
軍の言い分は、ハッチンソンが「子供の面倒を見る人がいない」という事実を利用して、アフガニスタン赴任を延期、もしくは拒否しようとしている、ということだ。
確かに複雑な家族問題を抱えている兵士は、ハッチンソンだけではない。シングルマザーとシングルファザーにしても、軍全体で8万5000人いるという。軍は、「誰もがなんとか解決策を見つけ、断腸の思いで赴任している」と言い、ハッチンソンを批判した。
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