米書店チェーン最大手のバーンズ&ノーブル(B&N)の身売り交渉が決裂した。今年5月、メディア・通信業界の重鎮と言われるジョン・マローン氏率いる米リバティメディアがB&N株の約70%を1株17ドル(総額約10億ドル)で買収すると提案しており、両社はこれまで協議を続けてきた。

2億ドルの出資で決着

米バーンズ&ノーブル、電子ブックリーダー「ヌック」を発表

バーンズ&ノーブルの書籍リーダー「ヌック」〔AFPBB News

 しかし結局はリバティがB&Nの発行済み株式の約16.6%を1株17ドル(総額約2億400万ドル)で取得するという「一部出資」という形で終結し、買収交渉は打ち切られた。

 今後、B&Nはリバティからの出資をもとに電子書籍の分野に投資していくという。米国の書店チェーン業界は同国で第2位のボーダーズ・グループが会社清算に追い込まれるなど、厳しい状況。

 米アマゾン・ドットコムやアップルといったハイテク企業が電子書籍の分野で台頭しており、今後B&Nには新たな施策が必要となりそうだ。

「1株17ドルは過小評価」

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、買収交渉が決裂した背景には、ここ最近の株価低迷がある。米国株式市場全体に広がる相場の下落を受けて、B&N株も17ドルを大きく下回り、リバティは先の提案を再検討せざるを得なくなった。

 その一方で、B&N側は当初よりリバティの提案を低すぎると評価しており、リバティ側に提示額の引き上げを求めていた。

 そもそもB&Nは、アマゾンの「キンドル(Kindle)」やアップルの「アイパッド(iPad)」といった電子書籍のライバル端末との厳しい競争でコストが膨らみ、収益を圧迫していた。