米アップッルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の後継者問題が浮上している。8月9日、米国株式市場で同社の時価総額が一時エクソンを抜いて世界最大になったこともあり、成り行きがさらに注目されている。
スティーブ・ジョブズ氏の後継は誰?
ウォールストリート・ジャーナルは7月、名前こそ記さなかったが取締役会が大手IT企業のトップのほか、数人を次期CEO候補として検討していると書いた。
ジョブズ氏はまだ56歳だが、2004年に膵臓ガンの治療で休養し、2009年には肝移植手術を受けている。さらに今年1月、病名を明かしていないが再び休養宣言をし、健康問題は絶えない。
休養中は最高執行責任者(COO)のティム・クック氏が同社を先導しており、業務に大きな支障はない。
同氏はジョブズ氏が温めている企業ロードマップを理解している人物として信頼は厚いが、取締役会はクック氏をすんなり次期CEOに就任させるつもりはなさそうだ。ジョブズ氏に代わる人物は簡単には現れない。
米国企業はいったいどういうアプローチで後継者を選択するのか。その選び方にいま変化が生じている。
急激に短くなっているCEOの寿命
日米で共通するのは、中小企業の約7割が息子や娘などの親族を後継者にする点だが、大企業は違う。米国の場合、CEO在任期間が過去10年で8.1年から6.3年へと早まり(ブーズ・アンド・カンパニー=Booz & Company の報告書)、退任年齢も53.2歳と若くなっている。
数字だけを眺める限り、アップルのクック氏は50歳なので頃合いはいい。
取締役会が近年、考慮するCEOの要件は、国際畑の経験者で、ファイナンスや製造分野よりマーケティングや営業分野での経験があり、複数の業界で経営に携わった比較的若い人物というものだ。
好例がキャンベルスープのCEO、デニース・モリソン氏で、8月1日から正式に同社トップに就いた。