海外の若者、中でも中国の若者から見れば、最も日本の魅力あるコンテンツはアニメ・漫画・ゲームだ(中国ではそれぞれの頭文字をとってACGと呼ぶ)。日本のアイドルや音楽やテレビドラマもファンはいないことはないが、「ACG」に比べればその数はぐっと少数になってしまう。

アニメ産業の育成を図る中国

日本のアニメ関係の本ばかりを販売する売店

 ところが中国政府は外国産コンテンツに対するスタンスを年々厳しくし、自国産で賄おうとしているため、日本の「ACG」関係の企業の進出は少ない。

 ごく最近の進出例で言えば、中国が原作を中心に、日本がプリプロダクションなどを担当した「チベット犬物語」くらいだろうか。

 筆者の過去の記事「見えた! 中国政府の完璧な情報統制術 模倣サービスで利用者を囲い込み、外国製品を駆逐へ」で紹介したように、言論が絡みそうな新技術はとかく自国のもので囲い込もうとするきらいが近年特に強まっている。

 コンテンツも言論絡みゆえに国産で囲い込もうとしているのは想像に難くない。

 また過去の記事「かけ声倒れの偽物撲滅、中国の真意はどこに 中国製品の偽物は取り締まるが、海外製品は手つかず」で書いたが、中国国内のコンテンツに対して著作権侵害に対する損害賠償請求が増えている。

中国に売るのではなく日本に呼び寄せる

 その結果、広告を配信するよりも無料配信ビジネスを実現、海賊版配信は裁判沙汰にしにくい海外のコンテンツが中心となっている。

 日本など海外の企業は、中国で企業を立ち上げるか地場企業にコンテンツ配信権を販売すればよさそうだが、そもそも中国が外国コンテンツ企業を受け入れないため、訴えるに訴えられないという状況が続いている。

 そうした中、「中国でコンテンツを売るのではなく、(日本のコアなファンだけでなく)中国のコアなファンをも呼び寄せて、お金を落としてくれればいいのではないか」と町おこし的な発想で動いているのが徳島県である。

 詳しい人にとっては基礎知識的な話で恐縮だが、「観光でアニメ」といえば秋葉原とリンクしがちだが、それだけではない。アニメのファンとなるや、その舞台に向かう「聖地巡礼」をする層がいる。