大企業を中心とする企業景況感改善の流れに、歯止めがかかり始めた。

 ロイターから14日に発表されたロイター短観8月調査(調査期間:7月27日~8月11日、回答企業245社)で、業況判断DIは、製造業が▲42(前月比+1ポイント)、非製造業が▲38(前月比横ばい)になった。製造業のDIは3月に▲78でボトムをつけた後、8月分まで5カ月連続の改善だが、今回の改善幅はわずか1ポイントで、ロイターは「足踏み状態」だとした。また、非製造業のDIは5月の▲44がボトムだが、ロイターの形容を引用すると、「年初来、一進一退が続いている」。

 業種別にみると、製造業のうち素材型のDIは▲33(前月比+1ポイント)。「化学」「石油・窯業」では上向いたが、「繊維・紙パ」では悪化し、「鉄鋼・非鉄」は横ばいだった。加工型のDIは▲48(前月比横ばい)。「金属・機械」「電機」は上昇したが、「輸送機械」は低下し、「食品」「精密・その他」は横ばいだった。

 また、非製造業では、上昇したのが「卸売」「情報サービス」、低下したのが「不動産・建設」「小売」「運輸・電力」「その他サービス」だった。ロイターによると「小売業はむしろここへ来て大きく悪化している」。「6月のボーナス以降、消費意欲減退が顕著に表れている」「販売単価が下落」といったコメントが寄せられたという。

 また、非製造業では、上昇したのが「卸売」「情報サービス」、低下したのが「不動産・建設」「小売」「運輸・電力」「その他サービス」だった。ロイターによると「小売業はむしろここへ来て大きく悪化している」。「6月のボーナス以降、消費意欲減退が顕著に表れている」「販売単価が下落」といったコメントが寄せられたという。

 製造業のDIは、3月に▲58でボトムをつけた後、4カ月連続で改善してきたが、今回8月分で悪化に転じた。また、非製造業のDIは、3月に▲26でボトムをつけた後、4・5月に改善、6月は2ポイント悪化したが、7月には4ポイント改善という足取りだったが、今回はまとまった幅で悪化した。

 景気楽観論者への主たるエネルギー供給源である生産関連指標については、息切れの兆候はまだほとんど見えていない。だが、これまで好転し続けてきたその他指標の一部では、上向きの勢いが弱まり、さらには悪化に転じるものが出てきている。すでに述べたロイター短観やQUICK短観のほかにいくつか挙げると、日本政策金融公庫が発表した7月の全国小企業月次動向調査で、売上DIは▲52.1(前月比▲13.8ポイント)となり、過去最低を更新した。製造業は2カ月連続で上昇したが、非製造業が落ち込んだ。7月の景気ウォッチャー調査で、先行き判断DIは44.9(前月比▲0.7ポイント)となり、7か月ぶりに低下した。家計動向関連の悪化が原因である。

 こうした一部指標悪化の原因としては、梅雨明けの遅れや豪雨による被害など、天候不順の問題がクローズアップされやすい。だが、それだけではなく、最終需要の回復が鈍い中での景気指標改善には自ずと限度があるという、そもそもの話が反映されている結果だという側面もある。

 特に、個人消費は要注意であるというのが、筆者の考え。雇用・所得環境が大幅に悪化しているだけに、消費の下振れリスクには引き続き大きなものがあり、「食のデフレ」に続いて、大手スーパーの「880円ジーンズ」に象徴される衣料品のデフレも注目を集めつつある。

 筆者は引き続き、景気「二番底」懸念の台頭やデフレ警戒感の強まりとともに、長期金利は一段と低下していくだろうという見方である。