イングランド銀行(BOE)の金融政策委員会(MPC)は6日、政策金利であるオフィシャルバンクレートを年0.5%で据え置くとともに、量的緩和の拡大を決定した。新たな資産購入プログラムの上限は1750億ポンドで、従来から500億ポンド上積みされた。

 1250億ポンドとなっていた資産購入プログラムの国債・社債買い入れ枠をBOEが7月末までに使い切った後、今回のMPCの選択肢として市場が事前に想定していたのは、(1)買い入れを停止(休止)したまま様子を見る、(2)ダーリング財務相からBOEが認可されている1500億ポンドとの差額250億ポンドを買い入れ枠に追加するという小幅の量的緩和拡大に踏み切る、の2つ。市場関係者の見方は二分されてきたが、MPC直前のプライマリーディーラー調査では、製造業購買担当者景気指数(PMI)や住宅価格が強い数字になったことが手伝って、8対4で買い入れ停止説が優勢になっていた。しかし実際は、250億ポンドではなく、500億ポンドの枠上乗せが決定された(ダーリング財務相は枠の拡大を認可)。市場にはサプライズとなり、英10年物国債利回りが一時前日比19ベーシスポイント低下して3.64%になったほか、外為市場では英ポンドが下落した。

 日銀は7月に発表したリポート「今次金融経済危機における主要中央銀行の政策運営について」の中で、「『量的緩和政策』を掲げているBOEでは、毎回の金融政策委員会で、資産買取りファシリティの総額を決定することとしている。買取りファシリティの額は、所要準備額と合算されてBOEのリザーブ量を規定するものであり、量的緩和政策時の日本銀行が日銀当座預金残高という中央銀行の負債サイド項目の量を毎回の金融政策決定会合で決定していたことと類似している」と記述している。

 日銀が2001年3月から2006年3月まで行った量的緩和政策における当座預金残高目標のピークは「30兆~35兆円程度」だった。BOEの量的緩和は今回の決定で最大1750億ポンド規模となったが、この金額は邦貨換算で約28兆円である(1ポンド=160円で計算)。BOEの量的緩和はようやく、過去の日銀並みに近づいたと言うこともできるだろう。