風のない28度と風のある33度。涼しいのはどちらか。比べてみたら後者の方が涼しかった。梅雨明け間もない午後のことである。

 そもそも暑さとは何なのか。涼しさとは何なのか。少し真面目に考えてみようと思った。

部屋の温度は1度しか下がっていない!?

 朝から真夏の太陽が容赦なく照りつける日曜日の東京。外気は午前中に早々と30度を超えていたと思う。いつもならのんびりブランチの時間までごろごろしているはずの休日なのに、8時前には暑さに追い立てられるように床を出た。

 シャワーを浴びてもなお肌につきまとう汗に耐え切れず、ダイニングはとりあえず世間の節電ムードにはおかまいなく26度設定でエアコンを回していたのだけれど、朝食の準備で野菜を切ったり火を使ったりしているとまたじわりと汗が滲んでくる。もともと人よりはるかに暑がりで汗かきなせいもあるのだけれど。

 ともあれ朝食を済ませ、せっかく早起きしたのだからまじめに書き物でもしようと書斎に。が、南に面したそこには悲劇的な熱気がゼリーのように淀んでいてモチベーションを一気に喪失させる。午前10時にして気温34度。ありえない。ともあれエアコンを回す前にまずはこの熱気を追い出さねばと、南と西の窓を一斉に開け放った。

 心地のいい風が吹き抜ける。まるで手際のいい清掃業者のように、重苦しい熱気をまたたく間に一掃してくれた。椅子に腰かけてしばらく風に当たっていると、肌に滲んでいた汗もみるみる乾いてくる。

 これなら何とかパソコンに向かって気持ちよく原稿を書けるだろうという涼しさだ。体感温度としては27~28度といったところか。26度設定(それでも室温は28度前後)のダイニングよりもずっと心地がいい。