住宅ローンの崩壊と住宅市況の悪化、そこに金融機関の貸し渋りが重なれば、当然起こるべき現象なのであろう。
家族連れホームレスの急増である。
しかし彼らを路上で「目にする」ことはない。我々が「ホームレス」という言葉から連想する人々とはイメージがかけ離れているため、道ですれ違っても彼らをホームレスだと思うことはない。
一見ごく普通の両親と子供たち。身なりにしても、衛生面にしても、特に劣ることはない。彼らのほとんどは、シェルターからシェルターを渡り歩いたり、車上生活をしたり、友人宅や実家などに身を寄せて生活している。
これら「姿の見えない」ホームレス家族は、米国の全ホームレス人口の4割以上を占めるにまで至った。
さらにやるせないことに、ホームレスを経験した子供の数は、昨年だけでも80万人におよび、今年になっても増え続けているという。すでに全国330学区が、昨年から今年にかけてホームレス児童が倍増したと報告している──。
以上が全国家族ホームレスセンター(The National Center on Family Homelessness)が、「大恐慌以来の空前の数」と切迫した事態を訴える、経済危機の「目立たない」被害者たちの姿である。
様変わりしたホームレス家族の事情
全米で最もホームレスの数が多いとされるサンフランシスコで、最も古い歴史を誇るホームレス家族支援センター、「ラファエル・ハウス」を訪ねた。
ホームレス家族支援センターの「ラファエル・ハウス」(筆者撮影、以下同)市内中心部にある古いビルを、ホームレス用のシェルターに改装して設立されたのが1977年。プログラムコーディネーターとして働くアシュリー・ウォルハイムさんは「シェルター史上、過去1年ほどホームレス家族が殺到したことはない」と語る。
シェルターの部屋は常に満室で、毎日他の施設と連絡を取り合い、助けを求めてくる新しいホームレス家族の転送先を探している状態だという。
経済危機以前のホームレス家族の典型はこうだ。平均2人の幼子を連れた20代前半のシングルマザーで、夫かパートナーの暴力から逃れてきた。もしくは、酒か麻薬の中毒症状があり、生活が破綻してシェルターに転がり込んできたというパターンだ。
母親自身が幼い頃ホームレスとなった経験を持っていることが多く、まともな教育を受けていないケースがほとんどであった。「ラファエル・ハウス」では、彼女たちにカウンセリングと経済的に独り立ちし、家族を支えながら生活をする術を教え、立ち直らせることをしてきた。
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