「ポスト・レイス(post-race)」──、人種を超えた時代という意味の新しい言葉が盛んに使われている。
オバマ大統領が選挙期間中から使っていたことで、一気に広がった言葉だ。彼が大統領になったことで、さらに意味合いが強くなった。
米国は人種問題を乗り越え、新たな時代に突入したという。
単に黒人系のオバマが大統領になったからということではない。最新の国勢調査によると、2つ以上の民族の血を引く人のグループ、つまり「混血の人たち」(multiracial)が、米国で最も急速に拡大する新しい「民族グループ」となった。
米国ではおよそ700万人が自らを混血だと申請している。しかし、実際の数字はもっと多いとされている。
国勢調査に答える際、人種を書く欄が変更されたのは2000年。それまでの単純な分け方から、以下の選択肢よりいくつでも該当する欄にチェックできるようになった。
・白人
・黒人またはアフリカ系アメリカ人
・アメリカ先住民(インディアン)またはアラスカ先住民(イヌイット)
・アジア人
・ハワイ先住民または太平洋諸島先住民
・その他の人種(ヒスパニック系を含む)
調査がこの形になってから、2つ以上の欄に該当すると答える人が増え続けている。なによりも、彼らの存在に光が当てられるようになったことが大きな変化と言えるだろう。
今、米国には特定の民族グループに所属せず、法的にも政治的にも社会経済的にも「マイノリティー」に入るのか否かがはっきりせず、心情的にも民族的束縛を感じない新しい集団が勢力を拡大しつつある。
その象徴がオバマ大統領なのだ。
ソトマイヨール判事は「逆差別者」か?
先日、ヒスパニック系の女性として初めて連邦最高裁の判事に指名されたソニア・ソトマイヨールが、8年前に大学の講義で「山あり谷ありの人生を歩んできたヒスパニックの女性の方が、平板な人生を歩んできた白人男性よりもより良い結論が出せるのでは」というようなコメントをしていたとして、一部の共和党員が大騒ぎしている。
「彼女は白人男性を『逆差別』する人種差別者だ」というのだ。