2011年6月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は、文部科学省管轄の財団法人原子力安全技術センターが運用しており、SPEEDIに関するパンフレットを公開しています。このパンフレットには、次のような記述があります。
大気中の放射性物質の濃度から計算できる内部被曝量
●降雨および乾燥沈着ならびに放射能の減衰を考慮し、放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量の予測計算を行います。
●放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量の計算結果から、空気吸収線量率を計算します。空気吸収線量率は、各核種からの複数のγ線による寄与を個別に計算して合計する詳細な手法により計算されます。
●空気吸収線量率の計算結果から外部被ばく実効線量を計算します。
●放射性物質の大気中濃度の計算結果から、吸収による臓器等価線量や内部被ばく実行線量等を計算します。
このパンフレットによれば、炉心溶融やコア・コンクリート反応などの重大事故が発生した場合、燃料種別、炉心溶融割合、炉心温度、コンクリート反応の有無、格納容器からの漏出割合を想定し、核種の組成比率データが格納されたデータベースから放出源情報を入力するか、希ガス、ヨウ素、セシウム、プルトニウムなど核種ごとの単位時間放出量などを入力すれば、日本各地における事故発生後の外部被曝実効線量と内部被曝実効線量をSPEEDIで予測できていることが分かります。
また、出力図形一覧を参照すると、1歳児、成人といった年齢別の内部被曝量も、甲状腺や肺といった臓器別の内部被曝量も、具体的に予測できることも分かります。
実際に、原子力安全委員会は3月23日、1歳児が屋外にい続けた場合、事故発生から12日間で甲状腺の内部被曝が100ミリシーベルトを上回るというSPEEDI試算を公開しました。