(Part1)の記事「知らないのは日本人だけ? 世界の原発保有国の語られざる本音」はこちらです。

 人類はエネルギー源として、石油、石炭、天然ガス、原子力などを用いている。ただ、石炭を使うようになったのは、ここ200年のことだ。石油は100年、天然ガスは60年、原子力は40年ほどの歴史しかない。それまでは、燃料として木材を使ってきた。

 技術の進歩によって、次々に新たなエネルギーが出現したが、それが広く使われるかどうかは、コストが関わっている。産業界は安いエネルギーを求める。

 日本は戦後の一時期まで石炭を使用していたが、昭和30年代に石油に転換した。中東から大量の石油が供給されるようになり、石炭より石油の方かコスト面で有利になったからだ。

 日本は戦後の焼け野原から新たに産業を立ち上げた。そのために、自由にエネルギーを選択することができた。そして、いち早く石油に切り替えたことが高度成長をもたらした。

 一方、戦勝国でありながら戦前からの工業国であったイギリスは、石炭から石油への転換が遅れた。石炭を使用する設備が多数存在し、また石炭産業の労働組合が強かったためだ。その結果、イギリスの産業は衰退した。

 このようにエネルギーと社会のあり方の間には深い関係がある。適切なエネルギー源を選択しない社会は衰退する。

21世紀に入ってから原発の比率は減少している

 そんな目で、下の図を見ていただきたい。これは原子力発電が「1次エネルギー」に占める割合を示したものである。1次エネルギーとは総エネルギー供給量のことである。この図から、世界がどんな思いで原子力発電を行っているか読み取ることができる。

原子力発電の1次エネルギーに占める割合、出所:IEA(国際エネルギー機関)