MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
南相馬市教育委員会教育長・青木紀男さんに南相馬市の小中学校の状況について聞いた。
1. 南相馬市の小学生約4000人、そのうちの30%が南相馬市にいる。中学生は約2000人、そのうち43%が南相馬市にいる。小学生、中学生合わせて約6000人のうち2000人が南相馬市にいる。
そのうち70%が緊急時避難準備区域内にある原町区にいる。本来なら子供たちは緊急時避難準備区域外にいなければならない。しかし、諸事情でどうしても緊急時避難準備区域に住んでいる子供たちがいる。
2. 子供たちは義務教育の対象なので教育を受ける権利がある。スクールバスを調達し、緊急時避難準備区域の児童生徒たちは緊急時避難準備区域外の鹿島区で授業を受けている。
スクールバス計20台。そのうち2台は南相馬市の北にある相馬市からの子供を乗せている(相馬市に避難している子供たちもいる)。そのほかは南相馬市から。
7時前にバスに乗って8時からの授業を受け、13時にバスに乗って帰る班、8時前にバスに乗って9時からの授業を受け、14時にバスに乗って帰る班がある。
3. 現在、授業は学校、その他の体育館、学校内の特別教室で行われている。10月までに2つの小学校、1つの中学校のプレハブ校舎を建築する予定。建てる場所は鹿島の学校の校庭。プレハブは2階建てになる。
4. 津波によって、南相馬市の児童生徒のうち15人が死亡、4人が行方不明。
南相馬市22校のうち1校が津波の直接の被害があった。地震時の適切な避難誘導により、その学校では津波に巻き込まれた児童はいなかった。
現在、児童・生徒の中には海に行けない、津波を怖がるなどPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を見せる子もいる。担任や臨床心理士などが対応している。
5. 下水処理施設が津波により壊れたため、仮設トイレの汚物が処理できなかったが、最近、処理場が造られ解決される。
6. 岡山県から大量の移動黒板、書庫棚、図書、教材が送られてきた。岡山県に感謝している。(岡山県以外の支援もあった)