写真提供:共同通信社/©Stanislav Kogiku/SOPA Images via ZUMA Wire/共同通信イメージズ
世代や素材、販売チャネルの変化に合わせて、常に新しい潮流が生まれるアパレルの世界。国内外の業界事情に精通するファッションジャーナリストの久保雅裕氏による『アパレルビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)から、一部を抜粋・再編集。流通、デジタル、サステナビリティまで、ビジネスパーソンが知っておきたい「教養としてのアパレル」を紹介する。
新品市場を脅かす存在と思われていた「二次流通」が、いまやアパレル業界の成長を促している。CtoC(個人と個人の取引)やリユースの拡大は、私たちの“消費の常識”をどう変えていくのか。
メルカリが変えた二次流通の拡大
『アパレルビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)
CtoC(Consumer to Consumer)やリユース市場、いわゆる二次流通も馬鹿にできない規模へと成長を遂げています。
矢野経済研究所によれば、国内のアパレル市場は、2023年に前年比3.7%増の8兆3564億円となり、3年連続で成長しています。この成長は、コロナ禍からの回復や外出機会の増加による需要の高まりが寄与しています。
一方、アパレルリユース市場も拡大を続けており、2023年には前年比13.9%増の1兆1500億円と推定されています。この背景には、フリマアプリの普及や古着ブーム、そしてSDGsへの関心の高まりによるアパレル企業のリユース活動の推進が挙げられます。
物価上昇による生活防衛意識の高まりだけでなく、訪日観光客が、「比較的品質の良い中古品」が見つかる日本の古着に目を付けている点も注目されます。下北沢、高円寺の古着店を回遊するインバウンドの姿をよく見かけます。
これらのデータから、ファッションリユース市場は、アパレル総小売市場の約14%を占めていることが分かります。
高級ブランド古着の買取販売で有名なラグタグは1985年にスタートし、1990年代に入ると都内で注目を集め、主要都市に店舗を拡大していきました。2000年代に入るとリユース市場の需要が高まり、2000年代後半には日本の大手アパレルメーカー、ワールドの傘下に入り、店舗拡大を進め、売上高は大幅に増加し、最近ではインバウンド需要も増え、2022年55億円、2023年以降、前年比10%以上の成長を維持しています。EC化率は現在約30~40%と高い割合を占めています。






