バークシャー・ハサウェイCEOのウォーレン・バフェット氏(左)と元Apple最高経営責任者のスティーブ・ジョブズ氏
写真提供:共同通信社、ロイター/共同通信イメージズ

 2025年末で、自ら率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)を退任する意向を示したウォーレン・バフェット氏。一代で約1540億ドルの資産を築いた「投資の神様」は、投資やビジネスで成功するために、どのような哲学を貫いてきたのか。

 本記事は『史上最強の投資家 新・バフェットの教訓』(メアリー・バフェット&デビッド・クラーク著、峯村利哉訳、徳間書店) より、一部を抜粋、再編集。人間関係づくりや時間管理など、ビジネスで協働を成功させるためにバフェット氏が重んじてきた考え方を紹介する。

ビジネス上で 協働を成功させる方法

新・バフェットの教訓』(徳間書店)

■ わたしは他人に信頼されるのが好きだ。どうせ何かをするなら、部屋にひとり座ってするのではなく、パートナーたちと一緒にしたい。たとえ、ひとりのほうがたくさん金を稼げるとしても――

 ほかの人々の金を投資し、収益から分け前をもらう方式で、ウォーレンはこの仕事に足を踏み入れた。〈バフェット投資組合〉が創設された当初は、組合の利益率が銀行預金の金利――当時は4パーセント――を上回ったときのみ、運用担当者に手数料が支払われる、という前代未聞のシステムが採用されていた。

 ウォーレンは1956年から1969年まで組合を取り仕切ってきたが、損を出した年は1回もない。この期間の年平均収益率は、複利計算で見ると29.5パーセント。手数料を差し引くと24.5パーセントだ。初期の組合員(パートナー)の多くは、ウォーレンと友達になる場合もあれば、〈バークシャー・ハサウェイ〉の株主仲間になる場合もあった。

 今日、〈バークシャー〉には300万人超の個人株主がおり、ウォーレンは彼らのことを“株主パートナー”と呼んでいる。過去53年間、〈バークシャー〉の年次総会では、最長6時間の質疑応答が行なわれ、ウォーレンは“株主パートナー”からの質問にひとつひとつ答えてきた。彼の心の中では、〈バークシャー〉の規模がどれだけ大きくなろうと、本質は今もなお投資組合と変わっていない。ウォーレンは今もなお、“株主パートナー”から絶大な信頼を寄せられる“業務執行パートナー”なのである。