バークシャー・ハサウェイCEOのウォーレン・バフェット氏写真提供:ロイター/©Vuk Valcic/SOPA Images via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ
2025年末で、自ら率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)を退任する意向を示したウォーレン・バフェット氏。一代で約1540億ドルの資産を築いた「投資の神様」は、投資やビジネスで成功するために、どのような哲学を貫いてきたのか。
本記事は『史上最強の投資家 新・バフェットの教訓 』(メアリー・バフェット&デビッド・クラーク著、峯村利哉訳、徳間書店) より、一部を抜粋、再編集。数千ある新興IT企業の中からアップルを選び出した一方で、グーグルに投資しなかった理由にも、バフェット氏の哲学がにじむ。
ハイテク企業への投資
『新・バフェットの教訓』(徳間書店)
■〈バークシャー〉では、将来頭角を現してくる少数の勝者を、実績なき新興企業の海から見つけ出すような試みはしていない。それほどの賢さを持ち合わせていないことは、我々も自覚している――
1990年代末のインターネット・バブルを憶えているだろうか? インターネットが世界を席巻していたころを? インターネット企業が登場するたび、新しい人気者になっていたころを? 当時のウォーレンは“インターネット株”を一銘柄たりとも所有していなかった。
その理由を尋ねられた彼は、自動車産業の黎明期の話をした。最初の20年間、アメリカの自動車製造業界には、1900社を超える国内企業がひしめいていたが、現在も存在しているのはわずか3社だけ。数千ある新興インターネット企業の中から、勝者のみを選び出せるような眼識は自分にはない、と。18年後のウォーレンは、残った勝者たちの中から1社――〈アップル〉――を選び、2024年初頭には、〈アップル〉社への投資から約1458億ドルの利益を得た。まさに、待てば海路の日和ありだ。
■ 我々が保有するビジネスの中で、〈アップル〉ほど優良なビジネスはない。人々は〈アップル〉のiPhoneに1000ドルを払い、セカンドカーに3万5000ドルを払うが――どちらかを諦めろと言われたら、セカンドカーのほうを諦めるはずだ――
ウォーレンの目に映る〈アップル〉は、消費者の心の一部を所有している商品を、複数種類ラインナップするグローバル企業だ。同社の事業の経済性は、ウォーレンの〈アップル〉愛をさらに燃えあがらせた。






