バークシャー・ハサウェイCEOのウォーレン・バフェット氏写真提供:ゲッティ/共同通信イメージズ
2025年末で、自ら率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)を退任する意向を示したウォーレン・バフェット氏。一代で約1540億ドルの資産を築いた「投資の神様」は、投資やビジネスで成功するために、どのような哲学を貫いてきたのか。
本記事は『史上最強の投資家 新・バフェットの教訓』(メアリー・バフェット&デビッド・クラーク著、峯村利哉訳、徳間書店) より、一部を抜粋、再編集。世界屈指の投資家の含蓄ある言葉を通じて、ビジネスの教訓を紹介する。
日本や中国などの米国以外への投資
『新・バフェットの教訓』(徳間書店)
■日本投資はわかりやすかった。相当な実力を備える会社が5つあって、どれも理解の範囲内に存在していて、適正な配当を払っていて、自社株を買い戻していた。しかも、購買の資金を調達する際、円建ての社債を発行することで、〈バークシャー〉は為替リスクを管理することができた――
2021年、ウォーレンは67億ドル相当の円を注ぎ込み、日本の大手“総合商社”5社の株を購入した。〈三井物産〉と〈三菱商事〉と〈伊藤忠商事〉と〈丸紅〉と〈住友商事〉だ。
日本は島国で天然資源がないため、製造業や日常生活に必要な原材料の多くは、100パーセント輸入に頼るしかない。具体的には、綿花、原油、天然ガス、鉄鋼、鉱物、牛肉。海外製の消費生活用製品と工業製品も数多く含まれる。日本の商社は原材料や製品の輸入を、独自の海外支社網と、世界各地の取引相手を使って円滑化している。反対に、日本製品を世界へ向けて輸出するのも彼らの仕事だ。
収益の成長と自社株買いに関して、上記の5社は長い歴史を持っている。しかし、実際に投資先としての魅力を高めたのは、全社が2パーセントほどの配当を支払っている点だった。
ウォーレンは日本円建ての債券市場から、67億ドル分の円を平均金利0.6パーセントで調達できたため、受けとる配当と支払う金利の差(2パーセントー0.6パーセント=1.4パーセント)を、1年間の稼ぎとみなすことができた(67億ドル×1.4パーセント=9380万ドル)。また、商社から受けとる配当は円であり、この円は円建て社債の金利支払いに充当できた。
このように、ドル/円の為替変動リスクは回避されている。遠い将来にウォーレンが日本株を処分し、〈バークシャー〉の資本利得(キャピタル・ゲイン)として米国内へ持ち帰るまでは…。






