
2023年3月、東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの上場企業に対し改善要請をしてから、2年が経過した。要請後、PBR1倍割れ企業が減少するなど一定の成果を見せたが、現状の日本企業のPBRの水準はどれほどまで改善しているのか。また、今後のPBR改善に向けた課題と方策は何か。
早稲田大学経営管理研究科(ビジネススクール)教授の西山茂氏が、日本企業のPBR改善に向けた現状と方策について、高PBR企業の事例をもとに語った。
米国企業と比べると、なお低い日本企業のPBR
PBR(株価純資産倍率)を高める方策を考える前に、まず、PBRの現状を日米比較で見てみましょう(下図)。
東京証券取引所によると、東証プライム上場企業のPBRの平均は1.2倍(2024年8月末時点)です。さらに、プライム上場1638社中、全体の45%相当の737社はPBR1倍を下回っている状況です(2024年9月時点)。
一方、米国については、S&P500のPBRは平均5.1倍(2024年8月末)で、比較すると日本はなお低い水準といえます。