SKIMP Art – stock.adobe.com

 少子高齢化や人材不足を背景に、またサステナビリティーや企業変革の観点から、退職者を「アルムナイ」(卒業生)と呼び、有力なパートナーとして関係構築に動く企業が増えている。アルムナイとの連携は企業にどんなメリットをもたらすのか、ネットワークづくりのポイントは何か。本連載では『アルムナイ 雇用を超えたつながりが生み出す新たな価値』(鈴木仁志、濱田麻里著/日本能率協会マネジメントセンター)から内容の一部を抜粋・再編集。先進事例として、住友商事の取り組みを取り上げる。

 今回は、DE&I(Diversity, Equity and Inclusion)を競争力の源泉として掲げる同社が、アルムナイ・ネットワークを導入した背景を掘り下げる。

事例 住友商事
アルムナイと共に価値を創造する
人的資本として存在感を増すアルムナイ・ネットワーク

アルムナイ 雇用を超えたつながりが生み出す新たな価値』(日本能率協会マネジメントセンター)

 グローバル人材マネジメントポリシーにおいてDE&I(Diversity, Equity & Inclusion)を「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」と位置付けている住友商事では、アルムナイと共に価値創造を目指す取り組みを実施しています。

 ネットワークの発足背景やその成果、成果の捉え方について、アルムナイ・ネットワーク事務局の柴田さんにお話を伺いました。

  

 

【プロフィール】
柴田 亮さん:HRソリューションズ部人事チームキャリアデザイン担当。
入社以来、財務業務に従事し、2019年より人事に異動。人材開発を経て現担当。

■ アルムナイ・ネットワーク導入の背景

──まずはじめに、アルムナイ・ネットワークを導入した背景を教えてください。

柴田 当時人事の担当役員がアメリカ拠点から戻ってきたタイミングだったのですが、アメリカには大学や企業でアルムナイ・ネットワークが当たり前にあって身近な存在だったことから、せっかくなら住友商事でもやってみたら良いのではないかという発案で始まりました。