関連特許をすべて読んだのですが、僕が把握している限り、Komtraxに関する最初の特許出願は、長谷川さんが発明者になっている1997年のものです。仮にそうだとすると、1997年か、その少し前に長谷川さんがKomtraxについて最初の発明を行った。
1998年に建機による強盗対策として「GPSつけたら?」という声が出て本格的に開発が始まった。1999年に荒川さんが行った発明について特許を7件出して、特許で勝負をかけ始めた。1999年には、国内のレンタル向けにKomtraxが導入され、2001年にKomtraxを標準装備化。先ほどの坂根さんの話を踏まえると、Komtrax誕生の歴史はこんな感じですね。
どうでしょう、ある程度裏は取れましたかね(笑)。この辺は、後で再度深掘りします。
発明者分析でキーパーソンが特定できましたので、特徴的な特許を発明者と紐づけながら紹介し、大まかな流れを紹介しておきます。一部については、後で取りあげて内容を解説します。
1996年以前は、遠隔通信とは関係のない「異常検出」に関係する特許が「菅野さん」他の名前でちらほら出ていました。これは、遠隔通信ではないのでKomtraxとは関係ないのですが、「異常検出」が一つの課題になっていたことを示しているので、僕は注目しています。
そして1997年に突然、「異常を検出」してその前後のデータを「遠隔通信」するコンセプトについての特許が出願されます(特開平11-065645)。長谷川さんの発明ですね。恐らくこれが、Komtraxに関する最初の特許出願だろう、と僕は考えています。
ちなみにここで検出対象になっている「異常」には、エンジンの油圧低下などがあがっていますし、「稼働時の異常」とも書かれていますので、「盗難防止」を想定していたわけではない、と僕は考えています。建設機械を安定的に稼働させるために必要な技術開発を行う中で、生まれた発明であり特許だと考えるのが、自然でしょう。
長谷川さんには、同じ1997年に「メンテナンス時期を稼働データから判定する方法」についての特許出願もあります。やはり当初から、「稼働時の異常検知」「メンテナンス」が目的でKomtraxが開発(発明)されていたように思えますね。
1999年には、送信する際の消費電力を削減する方法に関する特許が出願されています。これは、その後7件に分割されていて、1件を除いて権利化されています。ここが肝ですね。
遠隔モニタリング、つまり、異常データを送信する、という基本コンセプトについて特許を出した後、送信における課題として大きなものである「消費電力」に関する権利を押さえにきてるわけですよね。データ送信に電気を使うため、バッテリーにこれまで以上の負担がかかることは、容易に想定できます。