特に投資家の方で、投資先企業の目利きや評価のために特許情報を分析したい方には、このKomtraxの事例が最もわかりやすいと自負しています。投資家の方だけでなく、知財部門の方や、知財に興味がある技術者の方にも役立つ事例です。

 そもそも、多くの投資家の方は、普段はどこかにお勤めであったり、何か「お仕事」をされているでしょう。その「お仕事」のほうにも大いに役立つ事例ですので、ぜひ最後までお読みくださると嬉しいです。

 特許分析を行った際に用いた母集団について、記載しておきます。分析を行ったのは2014年ですので、母集団もそこまでになっています。最新の動向は、後ほど紹介します。

■以下の検索式で母集団を作成し、分析を実施。「出願人:小松製作所+コマツ」*「キーワード:(建機+機械+車両+遠隔)*(通信+情報+管理+監視+表示)」*「技術分類(FI): B60R+E02F+G06F+H04」(キーワード検索の範囲は、発明の名称・要約・請求項)※1993/01/01 ~ 2014/08/14公開分を対象とした。※データベースは、中央光学出版 CKSWeb を利用

■ キーパーソンは誰で、何を開発している?

 特許分析を行う際、僕が一番重視するのは発明者分析です。

 できれば、その企業や技術分野において中心になっている「キーパーソン」を見つけたいところです。

 僕は、発明者分析で、企業の技術開発の流れなどがだいたいわかると思っています。そもそも僕は極度の面倒くさがりなんですね(笑)。

 なので、できるだけ楽をしたい。その僕が、いろいろな企業や技術分野の特許分析を受託したり、興味がある企業について分析してみたりして、たどり着いた結論が「発明者分析をすればだいたいわかる」なんですね。

 だから、特許分析って何からやればいいのかわからない、と悩んで始められていない方は、まずはここで僕がやっているような発明者分析に取り組んでみてください。

 では、本題に入ります。図82を見ると、Komtrax関連特許におけるトップ発明者は荒川さんです。荒川さんが発明者に入っている特許が、1999年に7件あります。

図82 ▶ 「キーパーソン」を見つけ、「太い」流れを掴む

出典:TechnoProducer
※CsvAid(中央光学出版)を利用
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 そして同時に鎌田さんと水井さんも7件。この7件について、詳細は後述します。実は7件とも、『分割→拒絶→不服申し立て』したものなので、本気の7件です。ここからコマツは、Komtraxの特許網構築で勝負をかけてきた、これは明白です。