イギリスの哲学者・政治思想家ジョン・ロック(1632~1704) 写真提供:World History Archive/ニューズコム/共同通信イメージズ

 大企業の経営幹部たちが学び始め、ビジネスパーソンの間で注目が高まるリベラルアーツ(教養)。グローバル化やデジタル化が進み、変化のスピードと複雑性が増す世界で起こるさまざまな事柄に対処するために、歴史や哲学なども踏まえた本質的な判断がリーダーに必要とされている。

 本連載では、『世界のエリートが学んでいる教養書 必読100冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)の著書があるマーケティング戦略コンサルタント、ビジネス書作家の永井孝尚氏が、西洋哲学からエンジニアリングまで幅広い分野の教養について、日々のビジネスと関連付けて解説する。

 第9回は、イギリスの哲学者・政治思想家であるジョン・ロックが提唱した「自由民主主義」を取り上げる。10月には日本で衆議院選挙が、11月には米国で大統領選挙が行われた。こうした選挙を通じ、「自由民主主義とは何か?」と改めて考えてみたとき、共同体がどのように運営されているのか、あなたはその基本的な仕組みを説明できるだろうか?

近代の自由民主主義は、どうやって生まれたのか?

 今年2024年は選挙イヤーであった。主な選挙をピックアップするとこうなる。

1月 台湾で大統領選挙
6月 インドで総選挙
6月 欧州で欧州議会選挙
9月 日本で自民党の総裁選挙と立憲民主党の代表選挙
10月 日本で衆議院選挙
11月 米国で大統領選挙

 選挙の結果次第で国家の方針は大きく変わる。こうした選挙は、自由民主主義の思想に基づいて行われている。一方でこんな人も少なくない。

「オレが一票投じたところで何も変わらないし、ヒマもないから選挙なんて行かない」