主人公・光源氏のモデルは?
光源氏のモデルといわれる男性は、何人もいる。
藤原道長も、その一人である。
ドラマに関連する人物では、三浦翔平が演じる藤原伊周が挙げられる。
伊周は井浦新が演じた関白藤原道隆の嫡男であり、容姿に優れ、漢学にも通じた完璧な貴公子だ。歴史学者の繁田信一氏は、「若き日の光源氏のモデルには、伊周が最もふさわしいと思う」と述べている(繁田信一『『源氏物語』のリアル 紫式部を取り巻く貴族たちの実像』)。
他にも、高畑充希が演じた中宮定子の忘れ形見である敦康親王(一条天皇の第一皇子)や、道長の妻の一人である瀧内公美が演じる源明子の父・源高明(醍醐天皇の皇子)も、モデルではないかといわれている。
ドラマには登場していないが、平城天皇の皇子・阿保親王の子で、伊勢物語の主人公とされ、絶世の美男といわれる歌人の在原業平(825~880)や、嵯峨天皇の皇子で、源姓を賜わって臣籍に下った源融(822~895)、聖徳太子や菅原道真など、光源氏のモデルには、たくさんの男性が挙げられている。
だが、紫式部は、複数の実在、もしくは架空の人物の特性を組み入れて、作中の人物を造形しているので、光源氏のモデルも一人ではないと思われる(小池清治『『源氏物語』と『枕草子』 謎解き平安ミステリー』)。