大河ドラマ『光る君へ』では、吉高由里子が演じる主人公・まひろ(紫式部)が、ついに『源氏物語』を書き始めた。そこで今回は、『源氏物語』を取り上げたい。

文=鷹橋 忍 

源氏物語の舞台、宇治市の宇治橋と紫式部像 写真=kamogawa/イメージマート

源氏物語の構成

『源氏物語』は、主人公・光源氏の恋愛や生涯を中心に、70年余りの間の出来事を綴った平安時代中期の大長編物語である。

 紫式部の時代から数十年遡った、醍醐天皇(885~930/在位897~930)や村上天皇(926~967/在位946~967)が治めた時代をふまえて書かれているといわれる。

 30を超える言語に翻訳されており、世界的にも有名な作品だ。

 現存の『源氏物語』は、以下の五十四帖(五十四巻)からなり、一般に三部に分けて理解されている。

 第一部は、絶世の美男子で才能溢れる光源氏の誕生と女性遍歴、極めた栄華。

 第二部は、光源氏の栄華の崩壊や、彼の苦悩。

 第三部は、光源氏亡き後の、彼の子孫たちの憂いに満ちた世界が描かれる。なお、45「橋姫(はしひめ)」以降の十帖は、宇治を主な舞台としていることから、「宇治十帖」と称する。

【第一部】光源氏の誕生と栄華 主人公 光源氏

1「桐壺」、2「帚木(ははきぎ)」、3「空蝉」、4「夕顔」、5「若紫」、6「末摘花」、7「紅葉賀(もみじのが)」、8「花宴(はなのえん)」、9「葵」、10「賢木(さかき)」、11「花散里(はなちるさと)」、12「須磨」、13「明石」、14「澪標(みおつくし)」、15「蓬生(よもぎ)」、16「関屋(せきや)」、17「絵合(えあわせ)」、18「松風」、19「薄雲」、20「朝顔」、21「少女(おとめ)」、22「玉鬘(たまかずら)」、23「初音(はつね)」、24「胡蝶」、25「蛍」、26「常夏(とこなつ)」、27「篝火(かがりび)」、28「野分(のわき)」、29「行幸(みゆき)」、30「藤袴(ふじばかま)」、31「真木柱(まきばしら)、32「梅枝(うめがえ)」、33「藤裏葉(ふじのうらば)」

【第二部】光源氏の晩年 主人公 光源氏

34「若菜上(わかなのじょう)」、35「若菜下(わかなのげ)」、36「柏木」、37「横笛」、38「鈴虫」、39「夕霧」、40「御法(みのり)、41「幻」

【第三部】光源氏の子孫たちの物語(光源氏の没後) 主人公 薫、匂宮

42「匂宮(におうのみや)、43「紅梅」、44「竹河(たけかわ)」、

 ※以下、「宇治十帖」

45「橋姫」、46「椎本(しいがもと)、47「総角(あげまき)」、48「早蕨(さわらび)」、49「宿木(やどりぎ)、50「東屋(あずまや)、51「浮舟」、52「蜻蛉」、53「手習(てならい)」、54「夢浮橋(ゆめのうきはし)」