『源氏物語』の何が凄いのか
従来の物語は、上級貴族が妻や姫の娯楽のために、文才に恵まれた下級官人に命じて書かせたものであったので、作者は男性だったという(山本淳子『道長ものがたり 「我が世の望月」とは何だったのか――』)。
物語は、「あくまで、女や子どもの読みもの」と侮れており、その展開は比較的に素朴でわかりやすく、予定調和的な話も少なくなったといわれる(高木和子『源氏物語の作者を知っていますか』)。
対して、『源氏物語』は、随所に漢籍の知識が散りばめられ、光源氏の華やかな恋物語のみならず、政治的な要素も絡めるなど、物語が複雑で綿密に構成されている。
また、『源氏物語』は読者を対等と考え、すべてを語るのではなく、読者に判断をゆだね、想像させるような高度な書き方をしているという(三田村雅子『NHK「100分de名著」ブックス 紫式部 源氏物語』)。