ビッグモーター、ジャニーズ事務所、宝塚歌劇団など、2023年も多くの企業不祥事が世間をにぎわせた。不祥事は社内や取引先だけにとどまらず、社会にも大きな影響を及ぼす。コンプライアンス体制の整備やガバナンス強化などの必要性が認識されてきているにもかかわらず、なぜ、不祥事を起こす企業が後を絶たないのか。元・裁判官の経歴を持ち、現在は企業の予防法務や訴訟対応などを強みとする顧問弁護士として活躍中の森中剛氏が、不祥事・炎上を防ぐために企業は何をすべきか、実例をもとに解説する。
名の知れた非上場企業が不祥事を起こしやすい?
2023年は、企業の不祥事がたびたび目についた。元・地方裁判所裁判官の経験を生かして大手ハウスメーカーの社外監査役としても活躍する森中氏は、「特に、有名な企業の不祥事が目立った1年でした」と振り返る。
宣伝会議が発行する『広報会議』2024年1月号では、日本国内に在住する20~69歳の男女1000名を対象にしたアンケート結果を「不祥事ランキング2023~企業イメージが悪化した出来事~」として発表している。森中氏はこの結果を「それ自体が問題である不祥事、対応が良くなかった不祥事、企業には責任がない不祥事など、いろいろです。イメージが悪化した理由もさまざまです」と紹介した。
ランキングを見ると、非上場または上場企業の子会社・連結子会社である有名企業が多いことに気付く。
「非上場企業は、どこまでコンプライアンス体制が整備されているか不透明で、上場子会社は、親会社が作成した内部統制制度をそのまま使っているだけのことが多く、取締役会が機能していない会社も見受けられます。子会社のガバナンスに関して問題があることは従前から指摘されています」(森中氏)
この「不祥事ランキング2023」は、以前から問題視されていたそのことが表面化した結果でもある。