〔写真〕J_News_photo - stock.adobe.com

 メインの都市ガス事業の他、電力事業でも成長を見せている東京ガス。その特徴は両事業ともに脱炭素化の未来に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)を推進していることだ。本稿では最初に東京ガスのガス事業でのGXの推進法を紹介し、その上で電力事業でのGXの取り組み方を説明する。ガス事業では独自の取り組みを見せているが、電力事業ではエネルギー業界の“ディスラプター”と呼ばれている英国のオクトパスエナジー社と提携している点が特徴的である。

 元来はガス会社だったが、電力自由化を契機に参入した電力事業も成長させ、総合的なエネルギー企業となった東京ガス。社会が脱炭素化を求めている現在、「エネルギー企業はどのような環境経営を志向するべきか」を考え、同社が目指すのは「まずはCO2削減貢献、長期的にはガス・電力事業の脱炭素化」だ。

 そのために今進めているのが、「脱炭素化のための技術をGXで開発し、加えて市場環境の変化(デジタル化の進展による購買やコミュニケーション行動の変化など)にはDXで対応すること」。環境対応をさらなる飛躍のチャンスと捉えようとしているのだ。

 東京ガスのDXはGXと切っても切り離せない関係にあり、「GX×DX」の取り組みを推進しているとして、経済産業省と東京証券取引所による「DX注目企業2023」にも選定されている。

 同社のDX戦略には単にデジタルデータを活用するだけでなく、グループ全体の組織風土の変革などにより「DXを通じて、東京ガスグループ自らがビジネスモデルを変革し、『未来をつむぐエネルギー』であり続ける」という事業変革に向けた強い方針がある。