2024年が始まった。中国では辰年は良い年のはずだが、2024年は旧暦に立春がないため、不穏な年でもあるといわれている。私自身、年始に起こった能登半島地震や羽田空港での衝突事故を見て、そうかもしれないと思うようになった。
中国に目を向けると、2023年を一言で表す言葉に「明暗」がある。それは次のような状況が起こっているからだ。
・マクロ経済はコロナ前の軌道に戻りつつあるが、回復力に力強さが欠け、低迷が続いている。
・その一方で、産業界ではAIや半導体関連のベンチャー活動とイノベーションが盛んで明るい兆しが見えてきた。
・労働集約的製品よりEVをはじめとするハイエンド製品の輸出増が顕著で、スマート製造の推進とともに、モノづくり大国へのまい進も続く。
・ただ、経済成長に対する消費のけん引力が高まりつつある中、経済の先行き不安で消費意欲が低下し、必要最低限のものしか買わない理性消費の考えや節約志向が広く浸透している。
本稿では2023年の中国を振り返りつつ、昨年末に行われた2024年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議の内容から、2024年の中国の経済や産業動向の注目点を解説したい。