問題解決の手順に沿った、フォーマット整備と運用を図ろう
以下に、その運用を徹底するための工夫点を述べる。
①フォーマットの整備
問題解決アプローチとは、QCの長い歴史の中で確立された手順である。特に、本稿で取りあげている発生型の問題に対しては、問題事象を正確に捉え、その原因を探ることが重要である。従ってフォーマットとしても、この部分がおろそかにならないような工夫が必要である。
以下の図は、品質トラブル報告書の例である。思考プロセスが、問題解決アプローチから逸脱しないように欄を分ける工夫がされている。例えば、「対処」と「対策」、「不良発生原因」と「不良流出原因」などの欄を分離している。この例には無いが、不良原因を探る観点として、4M (Man=作業者、Machine=設備、Material=材料、Method=作業方法)の観点から細分化している例もある。また、対策についても挙げられた原因に基づき、なぜなぜ分析の要領で原因の深堀りを促進する様式となっているものもある。
要は、フォーマット上で分析の視点を提供することで、考え漏らしを抑制することが重要である。
②運用の徹底に向けて
運用の徹底に向けては、前項のフォーマット整備の他に、その運用状況を確認し、都度必要な是正をしていくことが重要である。
そのためには、問題解決スキルの習得とともに、本フォーマットの意図を正しく理解することが重要になる。そのための教育や内容確認のチェックポイントの整理などもしておくことが望ましい。運用の実態を踏まえて、より徹底を図るためにフォーマットを改善していくことも必要である。
バイヤー企業側もサプライヤー側も、ローテーション等で担当者が代わっていくのでその中で運用がなおざりとならぬように伝承していくことも必要である。
コンサルタント 加賀美行彦 (かがみ ゆきひこ)
生産コンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
開発・調達・生産管理・生産・生技/工務の領域において、直接材・設備・間接材のトータルコストリダクションやコストマネジメントの仕組み構築、また機能強化に向けた技術力向上、人材育成などの中長期的な体質強化に関するコンサルティングに従事。米国、欧州各国、ロシア、トルコ、中国、韓国、タイ、シンガポールなど、海外での経験も豊富。2007年度に立ち上がったJMA主催の購買・調達資格(CPP)の企画委員として参画。