生産技術の仕事は、製品設計が終わってからでないと始まらない?

 生産技術部門は、製品開発~量産のプロセスの中で、量産立ち上げ段階から<狙いのQCDへの達成貢献>が期待されている。生産技術部門は、設計完了時点で図面を受け取り、試作の段階で作りにくい点などを抽出して、設計にフィードバックをする。しかし、設計部門は「効果が分からない」などの理由で、設計変更に応じないことが多い。

 結果として、作りにくい工程が出来上がり、品質問題や余分な製造工数が掛かるなどの問題が発生している。これらの問題解決のために、改めて設計変更を要求し、工程変更・改善を実施するなど、量産立ち上げ間際~立ち上げ後しばらくは問題対応に追われてしまっている。

 そして、この手離れの悪さによって、次の開発テーマへの取り組みが後手に回るという悪循環に陥っている。

製品設計にフィードバックすることが、生産技術の仕事と考えている

 なぜこのような事態に陥ってしまうのか。これは製品開発のプロセスがバトンリレー型になっているからである。商品企画が終わって設計がスタート、設計が終わってから生産準備がスタートというように、前の工程が終わらないと次の工程が始まらない仕組みになっている。

 この仕組みでは、後工程で前工程の問題に気づいた場合フィードバックをかけることになるが、前工程はそれに対応すると、手戻り・やり直しが発生してしまうこともあり、フィードバックされたことがなかなか実施されない。前工程が後工程のことをすべて理解していれば、前工程が後工程を踏まえた検討を行うことはできるが、これを完璧にできているケースはほとんど見たことがない。