中途半端な5S、急場しのぎの5Sになっていないか

 多くの事業所で5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)のポスターやスローガンを見かけ「5S活動を行っています」という話を聞く。ただ、「本当に5Sの内容を十分に理解して活動しているのか」と疑問に思うことがある。

 例えば、「忙しいのに、なぜ、5Sをしなければならないのか?」「5Sで何がよくなるのか?」とか、「整理をしていると暇だと思われてしまう」という話も聞く。現場でも重量物が高所に置いてあったり、部品箱の中が乱雑に入っていたり、消火器前に仕掛品などが置いてある状態を見たりする。顧客の監査直前に、従業員総出で、物品を片付け、床などの清掃している光景を見たこともある。

 このような状況で、「5Sを実施している」と言えるのだろうか。

トップの意識の欠如と5Sの内容に関する教育不足が要因

 このような5Sになってしまう理由として、私は次の二つの要因が大きいと考えている。

 一つ目の要因は、事業所のトップがどこまで、5Sについて真剣に考えているかである。5Sが徹底されていない事業所では、トップの5Sに向き合う姿勢が甘いのではないかと感じられる。トップの真剣さが従業員に伝わっていれば、エピソードに出てきたような疑問や不満は出てこないであろう。

 二つ目の要因は、従業員が5Sの意味や具体的な活動内容を知らない、教えていない、ということが挙げられる。そのような事業所では、従業員は何をすればよいかを迷ったり、「5Sは、ただ片付けをすればよい」と単純に考えてしまい、中途半端な活動になっている。