受け身の業務に追われて、本来の業務ができていない生産管理部門

 生産管理部門は、営業部門と製造部門間の調整役であるため、販売量の変動や生産トラブルなどの状況変化に対して、生産計画の変更、納期調整、要員管理、サプライヤーへの連絡など、さまざまな業務を行っている。ある工場では、月次生産計画を立案後、日々の修正、計画変更業務が発生するなど、定常業務より、イレギュラー対応業務に時間がかかっていることも多く、生産管理人員の増加、残業の定常化などの問題が生じている。

 本来生産管理部門は、生産計画業務と生産統制業務を中心に、生産現場のQCDを維持、向上させるために、能動的に業務運営を行うべきである。しかし、上述のように関連部門からの要請や影響を受けて、受動的な業務運営になってしまうケースが多い。

 一般的に生産計画は、月次計画や週次計画を立案し、計画性を高めることによって、安定生産を実現している。ところが、市場の欠品による追加依頼や、重要顧客からの短納期要求があると、これまで立案済みの生産計画やその優先順位を変更し、現場を混乱させてしまう。さらに、その特急依頼の優先順位も、販売部門等の声の大きさによって左右されることが多く、適正な判断がなされないことがある。

 また、追加変更の対応は、結果として生産性の低下につながってしまうことも多い。なぜなら、一般的に追加変更時の生産指示量は、当初の計画時の数値より小さくなることが多く、また、準備、段取りを変更しなければならない状況も発生するため、切り替え作業など価値のない余分な工数が増加してしまうからである。